ピルのお話しませんか?
基礎#001 ピルってどんなもの?
- 経口避妊薬です
確実な避妊ができるお薬です。正しく飲めば、99.9%という高い避妊効果を得られます。日本ではコンドームでの避妊が主流になっていますが、コンドームは感染症予防具として、避妊はピルで行う「ダブルメソッド」「デュアルプロテクション」が最も理想的だと考えます。
成分は、2種類の女性ホルモンを混合したもので、そのホルモン量によって高用量・中用量・低用量と分類されます。諸外国の多くの研究データによって最も安全性が確立された最低限のホルモン量に抑えられたものが低用量ピルです。
- 元々体内にあるホルモンです
「合成ホルモン剤」というと、副作用の怖いステロイド剤や有害な化学物質を含んだ環境ホルモンを想像する人もいるようですがピル=OCに含まれるホルモンとは、元々生理や妊娠のときに体内で分泌されている黄体ホルモンと卵胞ホルモンを混合したものです。
ホルモン分泌の増減で生理周期ができ、排卵や生理、妊娠が可能になりますが、その分泌が乱れると生理不順や不妊、月経困難症になってしまいます。正しい周期に合わせてホルモンを摂取すると生理が定期的にきたり、ホルモンが安定し体調が整ってPMSや不妊が改善します。
- どんな時に飲むの?
経口避妊薬ですから、避妊が必要な女性はすべてピルを選択肢としてよいのです。月経さえ始まっていれば10代でも服用可能ですし、成長に悪影響なこともありません。
また、月経痛緩和や月経量の減少、貧血の改善、月経前症候群(PMS)の緩和などホルモンが安定する作用を応用して、いろいろな治療に用いられています。
1:生理不順
ピルを飲むと、生理周期がピッタリ28日になります。人によっては生理開始時間まで同じになる人もいるようです。若いうちは生理が安定していなくて当然といわれることもありますが、そのまま放置して将来不妊症になってしまったりすることもあります。早いうちに生理周期を整えて、快適に生理と付き合っていきましょう。
2:PMS・月経困難症
生理前後に急に悲しくなって涙がとまらなかったりイライラして彼氏にあたってしまうなど精神不安定になったり、生理痛で毎回鎮痛薬のお世話になっている人は、我慢しないでぜひピルを!!
ピルは卵巣から分泌される女性ホルモンの代わりの役目を果たすため、ピルが体内に入ったことを察知した脳が卵巣に休んでよいという指示を送ります。これによって卵巣は休息に入ります。したがって卵巣ホルモンに揺さぶられて起こっていPMSが改善します。
生理のたびに寝込んで仕事や学校に行けなかった人が「なんでもっと早くピル飲んでなかったんだろう!」と感動するくらい実際の声もよく聞きます。
3:子宮内膜症
子宮内膜が子宮の外側に飛び火し、その場所で月経出血を起こす病気を子宮内膜症といいます。
さらに子宮内膜症巣が卵巣にできると、卵巣内で出血を繰り返すため、古い血液がたまってのう腫(卵巣チョコレート嚢腫)を形成します。
ピルを服用していると内膜が厚くならないので、子宮内膜症の悪化を防いでくれます。
4:ニキビ治療
初めてピルを処方されたのが皮膚科で、避妊薬だと知らなかった、という人もたまにいますが、ニキビ治療にもピルは非常によく活用されています。
また、避妊目的でピルを飲み始めたら肌がすべすべになった♪なんて思わぬ副効用の声もよく聞きます。
5:月経コントロール
生理不順のところで規則正しく生理がくるとありますが、それを応用して28日周期の生理を自由にコントロールすることができます。ちょうど生理の時にプールや温泉などの予定があるとき、生理を早めたり遅らせたりすることが安全&確実にできます。
長引きそうな会議や夜勤がある日はできれば生理を避けたいですし、テストや面接も生理に邪魔されたくないですよね!ピルは、そんなちょっとしたことでも気軽に生理日調整が可能になります。
賢い受験生は、慣れる期間も含め10月くらいからピルを開始して、複数の大学受験日すべてに生理があたらないよう調整して試験に臨み、体調万全で受験を勝ち取っています。
- その他のピルのメリット
わざわざこのためを主としてピルを飲む人は少ないですが、ピルの副効用として以下のようなものがあります。
・卵巣がん、大腸がん、子宮体がんの発症率低下
・骨粗鬆症予防
・貧血予防
・多毛の改善
・定期的な受診による健康管理・病気の早期発見